2013年1月16日水曜日

クマNo.4が緑のクマから教わったこと

クマNo.4は自分の過去の姿を思い出した。

 大きな組織で働いていたクマは組織のスピードについて行けなかった。いま何をしているのか解らなかった。目の前にぶら下げられた仕事を言われるままにこなして行くのだが何が正解で何が不正解なのかが解らなかった。クマは先輩から「なに、なに、それ、何やってるの」と冷たく注意されると急に不安になった。

 クマは何とも言えない苦しい気持ちになった。「もっとやさしくしてください」とつぶやく。ここから逃げる訳には行かない。ここから逃げ出したい、でも逃げてしまったら何かが取り返せなくなって人生が破綻する。クマは何とか強いクマになろうと焦った。ところがいつまで経ってもクマは強くなれなかった。やがてクマは組織から脱落し落ちこぼれた。

 幾つもの季節が過ぎたある日クマNo.4は緑のクマと出会った。探し当てたわけではないのに緑のクマはそこに居てくれた。


クマNo.4は随分老けたけれどいまは確信している。

取り返せないものなんて何もないんだ